Missing Piece〜抱えきれぬ想い〜写真館


 男は涼子の帰りを待ち伏せしていた。

園田 「稲葉涼子さん。」

 涼子は男の顔を見た途端、顔色を変えて走り去ろうとしたが捕まる。
園田 「銀行に行っても会ってくれないんだもん、わざわざ来ちゃったよ。先月分まだ振り込まれてないんだよな〜。」

涼子 「帰ってよ!お金なんてもうないわよ!」

園田 「そっちがその気なら話しちゃおうかな〜。ねぇあの男、あんたのした事ちゃんと知ってんの?知ったら驚くだろーな〜。 」

涼子 「止めて!彼に余計な事言わないで!」

園田 「明後日この時間にまた来るね。約束破ったのそっちでしょ。 」




涼子は階段を駆け上がって、部屋へ入る。

槇村 「お帰り。涼子?どうした? 」
涼子 「……ううん、何でもない。 」



涼子は背中から槇村翔梧を抱きしめる。
槇村 「…涼子? 」
涼子 「翔梧が行く所なくてここにいるだけだってわかってる…。それでもいい。お願い…行かないでね。ここにいてね。」



男は誰かを待っていた。やって来たのは真知だった。園田悠太は真知の幼馴染だった。


園田 「真知。今日、病院の日だろ?一緒に行くよ。
なぁ、もうちゃんと馴染んでるのか?ほら、拒否反応とか起きないの?」

真知 「…うん。あのね、ある人と会ったの。そしたら変な感じがした。上手く言えないんだけど…なんだろう…知っている人のような気がしたの。それってこの目の記憶なんじゃないかな。」 」

園田真知に角膜移植してくれた人の?そんな事ってあるのか?あ〜でも真知が言うと有りな気がして来た。」 」

園田「……本当、ごめんな…俺があの時…!」
真知「ほら、また始まった。悠太のせいじゃないよ。あれは事故。」

園田「…強いな真知は。自分は強いのに、強くなれない人の気持ちも判る。強くて優しいからだな。」

真知「違うでしょ?自分が弱い事わかっているからでしょ。あたし達は繰り返しちゃいけないんだから。」  


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