JASPER〜蒼き森の鼓動〜


「シジミは要りませんか〜?美味しい美味しいシジミ〜。」


申之助 「何だ、灯殿はお得意様か。」

「ええ、朔耶様がお気に入りなんです。お屋敷の通いにならないか誘ってるんですよ?」

須々 「母が身体を悪くして寝たきりなので、私一人ではとてもまかない切れません。折角良いお話を頂いてるのにお受け出来なくてすみません。」

灯は屋敷に戻り、一真は警備に向った。
そこへ
虎弥太(こやた)がやって来る。
申之助 「その…生活の方は大丈夫なのか?俺はこんな格好をしているが百姓出身だ。そのせいか民の暮らしが人一倍気になってな。はははっ、だから民・百姓がよほどの悪さでもしない限り捕まえたりせぬつもりでいるんだ。」

須々 「あの…実は…。義賊が配って下さったお金のおかげで薬が買えたんです。おかげで暫く母についていてあげられる分の蓄えが出来ました。義賊は命の恩人です、感謝のしようもありません。 」

申之助 「ヤツは盗人だぞ?」
須々 「そんな!この街には義賊に感謝している人間は沢山います。」
申之助 「……まさか、街ぐるみで義賊を隠しているのか?だから捕まらないのか?そなたも義賊がどこにいるのか知っているのではないだろうな!知っている事を話すんだ!隠すと為にならん!」
須々 「知りません!痛い!放して下さい!」

虎弥太 「痛がっているだろう!」

須々 「本当に私は知りません。でも…!知っていても絶対に教えません!
言うんじゃなかった!」
須々は、その場を走り去った。


虎弥太 「百姓なのにあいつ等の仲間になったあんたが何を言っても誰も何も答えないさ。龍深家当主は武力で民衆を制圧していると聞く…。」
申之助 「な!」


虎弥太 「また戦を起こす気か?」



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